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2026年分の年末調整、今年だけ間違えやすい欄は3つです

2026 10/24
税務・確定申告
2026年9月27日2026年10月24日

年末調整の紙が配られる季節です。2026年分(令和8年分)は、制度の中身だけでなく、申告書の様式そのものが変わりました。去年の控えを横に置いて同じように書き写す。毎年それで済ませてきた人ほど、今年はそこでズレます。つまずきやすいのは、紙全体ではなく3か所だけです。

まず、よこまる本人の見解から。「年末調整の紙ってなんだろう? 自ら所得を書いたり、考えるところもないし、ただの作業にしかなってない気がするよ」。書く側の手間としては、たしかにそのとおりです。ただ、その「ただの作業」の中に、今年だけ去年と違う欄が混ざっている。だから今回は、制度の解説ではなく、手を動かす側の目線で3か所に絞って整理します。

よこまる

よこまる

年末調整の紙、考えるところがなさすぎて、ただの作業になってませんか。
目次

2026年分で変わったのは「紙の枚数」ではなく「欄」

今年の年末調整をめぐる情報で、いちばん誤解されやすいのがここです。新しい控除ができたと聞くと、提出する紙が一枚増えるように思えます。でも実際には、増えたのは紙ではなく欄のほうです。

提出する紙は、増えていない

国税庁の様式では、基礎控除・配偶者(特別)控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除の4つが、1枚の兼用様式にまとまっています。正式名称は「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」。長い名前ですが、紙としては1枚です。

つまり「特定親族特別控除の用紙をもらっていない」ということは、基本的に起きません。もう手元にある紙の中に、その欄が入っている。まずここを勘違いすると、勤務先に問い合わせる手間だけが増えます。

名前が変わった欄がある

もう一枚の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」では、家族を書く欄の呼び名が変わりました。従来の「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」へ。あわせて、チェック欄が「同居老親等」「その他」「特定扶養親族」「特定親族」に細分化されています。

去年の控えと見比べると、同じ位置にあるのに名前が違う。書き写す作業をしていると、ここは目が滑ります。

間違えやすい欄① 扶養控除等申告書の「源泉控除対象親族」

1つめは、いま触れた家族欄です。名前が変わっただけなら実害はありませんが、対象となる人の範囲が広がっているので、書き漏らしが起きます。

去年は書かなかった子を、今年は書くことがある

これまでの「控除対象扶養親族」は、扶養控除の対象になる家族を書く欄でした。2026年分の「源泉控除対象親族」には、それに加えて、19歳以上23歳未満の子のうち一定の所得の範囲にある人も含まれます。

つまり、去年は「所得が多いから扶養から外れた」と判断して書かなかった子が、今年は書く対象に入ってくるケースがあります。去年の控えを基準にすると、この子は最初から視界に入りません。ここが今年いちばん多い書き漏らしです。

チェック欄を空欄のまま出さない

該当する子がいる場合は、名前を書くだけでなく「特定親族」のチェック欄も必要です。欄に記入することで、毎月の源泉徴収の段階から控除が反映される仕組みになっています。名前だけ書いてチェックを忘れると、控除の反映が後ろにずれます。

間違えやすい欄② 基礎控除申告書の「所得の見積額」

2つめは、自分の所得を書く欄です。ここは様式の見た目がほとんど変わっていないのに、書く中身が変わるという、いちばん厄介なパターンです。

去年の控えを写すと、そこでズレる

基礎控除の額は、本人の合計所得金額に応じて段階的に決まります。そしてこの金額は、令和8年分で令和7年分から動いた段階があります。控除額そのものは勤務先が計算してくれますが、その計算の入口になる「あなたの所得の見積額」は自分で書く欄です。

去年と年収が変わっていなければ同じ数字でいい、とは限りません。段階の区切りが動いていれば、同じ所得でも属する段階が変わることがある。自分がどの段階に入るのかは、国税庁のタックスアンサー No.1199(基礎控除)で、令和8年分の列を見て確認するのが確実です。

「収入」と「合計所得金額」を取り違えない

この欄で毎年いちばん多い間違いが、源泉徴収票の支給総額をそのまま書いてしまうことです。申告書が聞いているのは収入ではなく、合計所得金額。給与だけの人なら、収入から給与所得控除を引いたあとの数字です。

年収と所得を取り違えると、配偶者控除や特定親族特別控除の判定まで連鎖して狂います。ここは1か所の記入ミスが、紙の中の複数の欄に波及する場所です。

よこまる

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年収と所得は別物です。ここを間違えると、下の欄まで全部ずれます。

間違えやすい欄③ 特定親族特別控除の欄

3つめは、今年から書くことになった欄です。特定親族特別控除は、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます(国税庁 タックスアンサー No.1177)。つまり、この年末調整が最初の出番です。

対象は19歳以上23歳未満・合計所得123万円以下

対象になる「特定親族」は、年齢が19歳以上23歳未満で、年間の合計所得金額が123万円以下の人です。大学生くらいの子がいる家庭が中心になります。

整理すると、子の合計所得金額が62万円以下なら従来どおり扶養控除(特定扶養親族として63万円)の対象。62万円を超えて123万円以下の範囲に入ると、扶養控除ではなくこちらの特定親族特別控除で見る、という切り替わりになります。なお、扶養親族の所得要件そのものも、令和8年分は62万円以下です(令和7年分は58万円以下、令和6年分以前は48万円以下)。去年の感覚のままだと、この線もズレます。

控除額は、子の所得で9段階に下がる

特定親族特別控除の額は一律ではありません。子の合計所得金額に応じて、63万円から3万円まで9段階で逓減します。

特定親族の合計所得金額控除額
62万円超 85万円以下63万円
85万円超 90万円以下61万円
90万円超 95万円以下51万円
95万円超 100万円以下41万円
100万円超 105万円以下31万円
105万円超 110万円以下21万円
110万円超 115万円以下11万円
115万円超 120万円以下6万円
120万円超 123万円以下3万円

出典:国税庁 タックスアンサー No.1177 特定親族特別控除。制度そのものの成り立ちは特定親族特別控除の記事で整理しています。

この表で大事なのは、子のアルバイト収入が増えると控除が段階的に減る、という形になっていることです。以前のように、一定額を超えた瞬間に控除がゼロになる崖ではありません。書く側としては、子の所得を正確に把握して書く必要が出てきた、ということでもあります。

書き間違えても、確定申告で取り返せる

ここまで3か所を挙げましたが、前提として押さえておきたいのは、年末調整は最終決着ではないということです。間違えたら終わりではありません。

欄ごとの「今年あらためて見るべきか」早見表

申告書・欄2026年分で見るべきか理由
扶養控除等申告書/家族を書く欄必ず見る「控除対象扶養親族」から「源泉控除対象親族」へ。対象範囲が広がった
扶養控除等申告書/チェック欄必ず見る「特定親族」の区分が加わり細分化された
基礎控除申告書/所得の見積額必ず見る様式は似ているが、基礎控除の段階が令和8年分で動いている
特定親族特別控除の欄該当者は必ず見る令和8年分から適用。今年が最初の記入
配偶者控除等申告書の欄該当者は見る本人の所得区分の判定を経由するため、①②の影響を受ける
所得金額調整控除申告書の欄該当者のみ同じ兼用様式の中にある。要件に変更がなければ例年どおり
保険料控除申告書例年どおり今回整理した3か所の範囲外。証明書の添付漏れに注意

間違いのパターン別・取り返し方

やってしまったこと取り返し方
年末調整の書類を出す前に気づいた勤務先に差し替えを申し出る。いちばん簡単
提出後、年内に気づいた勤務先の年末調整が終わる前なら訂正してもらえることが多い。まず担当部署に相談
源泉徴収票を受け取ってから気づいた自分で確定申告をして精算する
控除を書き漏らして税金を払いすぎた還付申告。その年の翌年から5年間できるので、慌てなくてよい
書きすぎて税金が少なすぎたこちらは放置しない。確定申告で正しい額に直す

つまり、控除を取りこぼした側の間違いには5年の猶予があります。年末調整の紙を前にして固まるくらいなら、わかる範囲で書いて出し、あとで確定申告で直すほうが早い。なお、もともと事業所得や副業があって毎年確定申告をしている人なら、年末調整の書き間違いもその申告の中で一緒に精算できます。帳簿づけから申告まで通してやるなら、マネーフォワード クラウド確定申告(PR)のような会計ソフトで年内から整えておくと、精算の手間はかなり軽くなります。

制度そのものが2026年にどう変わったのかは2026年の年末調整、実務はほぼ変わりませんで、毎月の給与明細の見方は給与明細で毎月見るべきは、控除欄ではなく支給額ですで整理しています。

よこまる

よこまる

取りこぼしは5年戻せます。固まるより、出して直すほうが早い。

まとめ

2026年分で見るべき欄は3か所。扶養控除等申告書の「源泉控除対象親族」、基礎控除申告書の「所得の見積額」、そして今年から登場する特定親族特別控除の欄。紙は増えていないので、増えた欄を探しにいく意識だけ持てば足ります。

そのうえで、今年の改正をよこまるはこう見ています。「まあ地味に減税にはなってる。でも政治的にあんなに騒いだほどには大して変わらないんじゃないかな」。数字の大きさより、騒がれ方のほうが大きかった、という評価です。

だから結論も、紙の書き方の先にあります。せせこましい節税を考えるくらいなら、しっかり稼ぐほうが先。もしくは、本格的に節税施策を検討する段階まで行くほうが早い。2,000万円超の給与、住宅ローン減税、事業所得。そういう理由で確定申告をする側に回っていく、という話です。もっとも、申告したところで一円の得もない人に手間だけかけてほしいわけではありません。それでも、自分がどれだけ稼いで、そこからどれぐらいの所得控除をしてもらっているのかは知っておいたほうがいい。年末調整がただの作業になるのは、自分の数字を見ないまま紙が流れていくからです。今年はどの欄が変わったのかを一度追いかけてみる。それだけでも、自分のキャッシュフローと人生の設計を見るきっかけにはなります。

※本記事は執筆時点の情報にもとづきます。税制・制度は変わることがあるので、最新は国税庁等の公式情報でご確認ください。一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。ふだん何を考えているかは、note に書いています。
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公認会計士・税理士として実務で見ていること、キャリアで迷ったこと、お金との距離感。答えの出ていない話も含めて置いています。

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公認会計士・税理士。IPO準備企業で、経営に近い場所にいます。仕事は数字を扱うことですが、いちばん興味があるのは「人がどう働いて、どう暮らすか」。お金・税務・AI・キャリア、そして日々のことを、一般論として、自分の頭で考えた分だけ書いています。ここに書いているのは、個人としての見解です。
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公認会計士・税理士。IPO準備企業で、経営に近い場所にいます。仕事は数字を扱うことですが、いちばん興味があるのは「人がどう働いて、どう暮らすか」。お金・税務・AI・キャリア、そして日々のことを、一般論として、自分の頭で考えた分だけ書いています。ここに書いているのは、個人としての見解です。

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