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株価が下がった月、NISAの積立を止めるべきか。金利上昇局面で試されること

2026 9/16
投資・資産運用
2026年9月16日

9月に入ってから、株価が大きく下がった日が何度かありました。9月2日は日経平均が1,889円安、9月11日にも1,259円安。長期金利は30年ぶりの高い水準です。こういうときこそ、自分が5年後、10年後に株価がどうなっていると思っているのかが試されます。根拠のある仮説を立てていれば、慌てるはずはありません。嫌な気持ちになるのは人間なので仕方ないとして、そこと売買の判断は別ものです。

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見には行きます。でも基本的には放っておきます。
目次

2026年9月に起きていること:株価は「金利」で下がっている

まず事実関係を押さえます。今回の下落は、景気が急に悪くなったとか、企業の決算が総崩れになったという話ではありません。金利が主役の調整です。

9月に2度あった大幅安

9月2日、日経平均株価は前日比1,889円70銭安の64,325円64銭で引けました。下落率は2.85%、東証の33業種すべてが下げるという全面安です。その後もじりじりと戻りきらず、9月11日には1,259円61銭安の64,011円34銭。約1か月ぶりの安値圏まで押し戻されました。

背景として挙げられているのは、世界的な長期金利の上昇、中東情勢を受けた原油高、そして米国株の軟調です。日本の新発10年物国債の利回りは、8月18日に一時2.945%をつけました。おおよそ30年ぶりの水準です。

今週、日銀の会合がある

もうひとつ、相場が神経質になっている理由があります。9月17日・18日に日銀の金融政策決定会合が開かれ、政策金利を現在の1.00%程度から1.25%程度へ引き上げるとの観測が市場で強まっていることです。実現すれば6月会合以来3か月ぶり、水準としては1995年以来の高さになります。

つまり今の下げは、「金利のある世界」に日本経済が本格的に入っていく過程で起きている値動きです。ここを取り違えて「何か悪いことが起きた」と受け取ると、判断の質が落ちます。

金利が上がると、なぜ株価が下がるのか

理屈を知っておくと、ニュースの見出しに振り回されにくくなります。大きく2つの経路があります。

①将来の利益を「今の価値」に割り引く率が上がる

株価は、その会社がこの先生み出す利益を現在の価値に割り引いて足し合わせたもの、という考え方が基本にあります。このとき使う割引率のベースになるのが長期金利です。金利が上がれば割引率も上がり、同じ将来利益でも現在価値は小さくなる。企業の中身が何も変わっていなくても、理論上の株価は下がります。

とくに影響が大きいのが、利益の大半が遠い将来に期待されているタイプの銘柄です。成長株やハイテク株が金利上昇に弱いと言われるのは、割り引かれる期間が長いぶん、割引率の変化が効きやすいからです。

②リスクを取らなくても増える選択肢が出てくる

もう一方は、比較の問題です。国債の利回りが2%を超えてくると、値動きを我慢しなくても得られるリターンが上がります。2026年9月募集の個人向け国債・変動10年は初回の適用利率が年1.95%(税引前)でした。長らくゼロ金利に慣れていた感覚からすると、かなり景色が変わっています。

安全資産の利回りが上がるほど、株式に求められる上乗せリターンのハードルも上がる。結果として、株から債券・預金へ資金が移りやすくなります。加えて企業側は借入コストが上がるため、利払い負担の重い会社ほど利益が圧迫されます。現預金の置き場所そのものについてはキャッシュはどこに置くのが正解かで整理しています。

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金利が上がるのは、株の対抗馬が強くなるということです。

「続ける・止める・売る」でNISAの何が変わるか

ここからが実務です。下がった局面で取れる選択肢は3つありますが、税制上の帰結はそれぞれまったく違います。気分ではなく、枠がどうなるかで比べてみます。

【比較表】3つの選択とNISA枠への影響

選択年間投資枠(360万円)非課税保有限度額(1,800万円)平均取得単価手元の現金
積立を続ける予定どおり消費される買い付けた簿価の分だけ埋まる安い価格で買う分、下がる毎月出ていく
積立を止める(保有は継続)使い残しは翌年に繰り越せないその年は増えない変わらない手元に残る
売却する売っても回復しない翌年1月1日に簿価の分だけ復活―売却代金が入る(利益は非課税)

見落とされやすいのが真ん中の行です。「一時停止するだけだから、いつでも戻せる」と思われがちですが、年間投資枠には繰り越しがありません。つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=年360万円は、その年に使わなければ消えます。月10万円の積立を3か月止めれば、30万円分の非課税で買える権利が戻ってこないということです。

売却は「枠が翌年まで戻らない」ことを含めて判断する

売った場合、非課税保有限度額は簿価ベースで翌年1月1日に復活します。当年中には戻りません。さらに、NISA口座は損益通算も繰越控除もできないので、含み損のまま売ると税制上のメリットを何も使えずに枠だけ消費した形になります。NISA枠が復活するタイミングは年末の受渡日まで絡むので、動かす前に一度確認しておくところです。

なお、積立の停止・減額・再開はいずれも金融機関の画面から手続きできますが、翌月分に間に合う締切は各社で違います。クレジットカード決済の積立はとくに早めの期日が設定されていることが多いので、動かすつもりなら締切を先に見ておくと確実です。僕自身が使っているのも楽天証券(PR)で、設定変更はここから行っています。

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非課税の20%の下駄は、持っている間ずっと効いています。

下落率と、元に戻るのに必要な上昇率

「どこまで下がっても平気か」を先に決めておくと、下げている最中に考えなくて済みます。そのときに使える数字がこれです。

-30%は、+42.9%でようやく戻る

下落率元の水準に戻るのに必要な上昇率100万円がいくらになるか
-5%+5.3%95万円
-10%+11.1%90万円
-20%+25.0%80万円
-30%+42.9%70万円
-40%+66.7%60万円
-50%+100.0%50万円

下げと戻りは対称ではありません。半分になったら倍にならないと元に戻らない。この非対称性があるからこそ、「耐えられない金額を入れない」という入口の設計が効いてきます。逆にいえば、耐えられる金額しか入れていないなら、-20%も-30%も待てる範囲の話になります。

積立の場合、下落局面は取得単価を下げる期間でもある

毎月定額で買い付けていると、価格が下がっている期間は同じ金額でより多くの口数を買えます。仮に基準価額10,000円のときに月3万円なら3口相当、8,000円まで下がれば3.75口相当。平均取得単価は自動的に下がっていきます。

ここで積立を止めると、安く買える期間だけを避けて、高くなってから買い直すという動きになりがちです。止めるなら「怖いから」ではなく、「生活費が足りないから」「近い将来に使う予定ができたから」という現金側の事情で止める。理由の置き場所が違うと、あとの意思決定も変わります。

慌てないための条件は、我慢ではなく仮説

ここからは僕の見方です。相場が荒れているとき、口座は見には行きます。でも基本的には放っておきます。余裕資金しか入れていないですし、短期的なキャピタルゲインを狙うつもりがまったくない投資をしているからです。

「放っておける気持ちでできる投資」を選べているか

放っておけば10年20年単位で見れば伸びる、と自分が思える。そういう気持ちでできる投資をすることが必要なのではないかと思っています。投資の鉄則だと思いますけど、意外とできていない人が多いのではないでしょうか。毎日値動きが気になって仕方がないなら、それは金額が大きすぎるか、対象が自分の仮説と合っていないかのどちらかです。

その前提として、キャッシュは何より強い、という感覚があります。キャッシュがあるから人生を選べるし、キャッシュがあるからやりたいことができる。投資に回す前に、自分が安心できる金額を先に確保しておく。そこが埋まっていれば、株価が2,000円下げた日に売る理由はほとんど生まれません。

試されているのは、5年後・10年後の絵を持っているかどうか

こういうときこそ、自分は5年後、10年後に株価がどうなっていると思っているのかが試されます。根拠のある仮説を立てていれば、慌てるはずなどありません。嫌な気持ちになるのは、人間なら仕方ないとしても、です。

逆に言えば、今回の下げで落ち着かなくなった人は、下手だったのではなく、仮説をまだ言葉にしていないだけだと思います。「なぜこれを持っているのか」を一度書き出しておく。それが次に下げた日の自分を助けます。為替が動いた局面での考え方は為替が6円動いた9月の積立の考え方にまとめてあります。

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慌てないための条件は、我慢ではなく仮説のほうです。

まとめ

2026年9月の下落は、金利が主役の調整です。積立を止めれば年間投資枠の使い残しは翌年に繰り越せず、売れば非課税保有限度額が戻るのは翌年1月1日。気分で動かすには、制度側のコストが小さくありません。そのうえで問われるのは、5年後・10年後にどうなっていると思っているかという仮説のほうです。そこに根拠があるなら、下げた日にやることは基本的に何もありません。

出典:金融庁「NISAを知る」/財務省「個人向け国債・変動10年 発行条件」(いずれも2026年9月15日時点)

※本記事は執筆時点の情報にもとづきます。制度・市況は変わることがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。ふだん何を考えているかは、note に書いています。
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公認会計士・税理士。IPO準備企業で、経営に近い場所にいます。仕事は数字を扱うことですが、いちばん興味があるのは「人がどう働いて、どう暮らすか」。お金・税務・AI・キャリア、そして日々のことを、一般論として、自分の頭で考えた分だけ書いています。ここに書いているのは、個人としての見解です。
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